結婚式の写真の後悔を思い直す

結婚式の写真の後悔を思い直す

最近、「結婚式当日の写真に後悔している。指示書を持って行けば良かったのかな?」
というのをよく聞きますので、業界が長くなってきた私の個人的な考えを共有し、これから結婚式の写真を注文する方も後悔している方にも参考になれば幸いです。

まず少し乱暴に結論を言いますと

結婚式当日の写真にあまり期待しない

こう書くともしかしてカメラマン側のハードルを下げていると思われるかも知れませんが、前撮りなど作品風に撮る場合と当日の記録をリアルタイムで
撮るのは撮影の趣旨自体が違います。

記録的なウェディング写真とは

例えば報道(戦場など)写真と広告(モデルなど)写真の違いのように
目的が大きく違います。
前者はその現場の状況がわかるように、しっかり記録として残す事自体が目的です。
美しさや感動やメッセージ性を目指しているのではありません。
カメラマンによって若干の上手い下手はありますが、状況記録がきちんと撮影できていればまずは目的は達成されています。
ごく稀に全ての偶然が重なって、人がセッティング出来ないような感動的な状況が現場で生まれ撮影できる場合があります。その瞬間はドキュメンタリー写真の方がメッセージ性も感動も圧倒的に爆発力がありますが、なかなか起こりえません。
そういう何百件も撮影している中で一回だけ起こった偶然の素晴らしい写真がネット上にサンプルとして出ていたりするので、それを希望されていたら普通の写真と比べた時不満につながるかも知れません。

現場のカメラマンが考えている事

事故の無い様に進行を邪魔せず記録を残すのがまず第一です。
第二に撮影に余裕が出てきた時に次の段階として美しさや
写真へのこだわりを考えます。
記録写真を残すというのは撮れなかったという事故も絶対起こさないという事も含まれます。
前撮りなどの作品撮りの様にやり直しが出来ない、挙式撮影のカメラマンはアクシデントに備えカメラ2台ガチャガチャ持っていて機敏ではありません。

もしもし万が一、会社来賓卓のテーブルで各卓写真を撮っている最中に
遠くの親族卓で両家のお父さん男同士が「娘を頼んます」「ご苦労様でした」と泣きながら抱き合っている映画の様な神シーン(笑)が起こっていたとしても、走って行きたいのを我慢して集合写真を撮らないといけません。
待っているゲストを置いて自分だけの欲求で行動ができないのです。
もし万が一、新婦さんソロの後ろ姿をキレイな階段背景で撮ってあげたいなと予定していても、急遽その奥を他の新郎新婦が通ることになり、バッティングしないように撮影場所の変更を耳打ちされ、変なパテーション背景で新婦のソロショットを撮らないといけなくなるなど会場側もカメラマンも想定外の事が起こるのが、当日の撮影です。


カメラマンは怠けているわけでも気が利かないわけでもセンスが悪いのでも無く、撮りたいのもと撮らないといけないものが一致しない場面も多々あり、写真に写らない裏の事情がある場合もあるのです。

値段との整合性

ただそれらの事を何となく理解して頂いたとしても
「約30万円も払っているからいい写真を撮ってくれるだろう」と思うかもしれません。
ざっくりな計算ですが、その30万円は半分は会場に、あとの70%~80%は写真会社に入り、カメラマンは4万~2万円程しか手にしてません。
試しにあなたがカメラ2台とレンズ4本とストロボをレンタルしてスーツを着て一日中2000枚ほど撮影した事を想像してみて下さい。
おそらく2万円ではやりたくないと思われるでしょう。
30万円払ったから30万円の価値のある写真がもらえると思っていた方は、そのギャップに不満が出るかもしれません。
もし結婚式の写真に後悔している方は、納品された写真を2万円の価値だと思い見返して下さい。おそらくだんだん納得してくると思います。
この様にある種歪んだ独特の形態のウェディング写真ですが会場提携の写真業者に依頼するという事はこういう事です。

以上、カメラマン側の肩を持つような事ばかり書きましたが、確かに当たりハズレは存在します。 次回はその解決方法と指示書の是非を書きたいと思います。

最近「結婚式当日の写真に後悔している」とよく聞きますので、
せめてもの慰めにならないかと提携カメラマンの撮影環境を書いてみました。
ありがとうございました。

後編につづく…